文鳥のヒナをお迎えしたら検診へ!トリコモナス症の恐怖
先日、文鳥のヒナをお迎えしてから2週間もたたないうちに、亡くしてしまいました。原因はトリコモナス症です。
この記事では、トリコモナス症について、自身が実際に体験した症状の経緯などを紹介します。
トリコモナス症とは?
トリコモナスとは、そ嚢を中心に口腔内、食道に寄生する原虫です。多くの鳥類に感染すると考えられますが、国内の飼い鳥では文鳥が最も多く見られ、セキセイインコ、ハト、オカメインコにも見られます。
ヒトにもトリコモナス症がありますが、種類が違うため、人畜共通感染症ではありません。
ヒナに多く見られる
トリコモナスの発症は宿主の免疫力に左右されます。免疫力の低いヒナでの発症率が高く、成鳥で病害を視ることは稀です。成鳥の場合はトリコモナスを所持していても発症せずキャリアとなります。
感染源は?
トリコモナスの主な感染源は、以下の通りです。
- トリコモナスを所持した親鳥からの挿し餌
- ペットショップなどで集団挿し餌(器具の使いまわし)によるもの
トリコモナスは粘膜感染するので、挿し餌時に親鳥やほかのヒナの唾液から感染することが多いと考えられます。
複数飼育していて、一羽にトリコモナスの症状が見られた場合は、ほかの鳥に粘膜感染をしないよう注意しましょう(空気感染はしない)。また、同時放鳥など鳥同士の粘膜感染の可能性がある、一緒に挿し餌をしているヒナがいる場合は、症状が見られなくても病院で検査を受けることをおすすめします。
トリコモナスの診断方法
そ嚢液または口腔粘液を顕微鏡で見ることで、トリコモナスの有無を判断することができます。
症状は?
トリコモナスは食道炎・そ嚢炎による食欲不振、吐出、口腔粘膜の増加が見られ、重症化すると食道穿孔やそ嚢穿孔を起こすことが多く、特に食道穿孔を起こして皮下腫瘍を形成します。食道穿孔では頸部に大きな腫瘍を形成するため食物が通過できなくなります。また、トリコモナスは副鼻腔や肺に迷入して、副鼻腔炎や肺炎を引き起こすこともあります。
私の愛鳥では、一番初めに感じた違和感として「口腔粘膜の増加」でした。唾液が多いなと感じたら、トリコモナスを疑いましょう。
治療方法は?
トリコモナスの治療は、メトロニダゾールで駆除が可能です。経口投与が一般的です。皮下腫瘍が形成され散る場合は、抗生物質を投与します。
予防方法は?
ブリーダーやペットショップでの感染を防ぐことは難しいため、お迎え後は早めに動物病院へ健康診断に連れていくことをおすすめします。
私の場合はショップにいる時にすでに発症していたため、1週間は安静に過ごし、そのあとで健康診断の受診を考えていましたが、結果遅すぎてしまいました。
元気に見えても、挿し餌をした際粘っこい唾液のようなものがスポイトに付着する場合、トリコモナスにかかっている可能性があります。
参考文献:コンパニオンバードの病気百科、鳥のお医者さんのためになるつぶやき集
お迎えから2週間で失った命
私は文鳥のヒナをお迎えし、2週間以内にトリコモナスで命を亡くしてしまいました。ここでは、私が見逃してしまった原因を赤裸々に紹介します。
- 初日から挿し餌のスポイトに粘膜質の液が付着した
- 挿し餌なので体重の減少に気づけなかった
- 元気、食欲、便の状態に問題がなかった
- 痰が絡んだような呼吸をするようことがあったあ(断続的)
- 朝、明らかな体調不良が見られたが、鳥専門の獣医が不在だった
- ⑤の翌日動物病院を受診、トリコモナスと診断。その日のうちに亡くなった。
ヒナだからこそ見逃しやすいポイントがあった
お迎えした文鳥は挿し餌を1日3回与えているとのことなので、同じように実行しました。食前の体重がおよそ24g、食後26g前後だったため、異常はないと判断しました。しかし、この時実際の体重は恐らく20gほどで、挿し餌の水分の関係などで体重が減少しなかったと思われます。最終的には19gでした。
元気、食欲、便の状態に異常がなかった
鳥の健康バロメータとして、食欲、元気、便の状態が挙げられますが、トリコモナスの場合、初期症状ではこれらに異常が見られない場合があります。私の文鳥がまさにそうだったため、病気を持っているとは思いませんでした。
痰が絡んでいるような呼吸をすることがあったが、元気や食欲などに異常がなかった
お迎えして数日後、時々痰が絡んだような呼吸に雑音が混ざることがありました。しかし、断続的なものであったことや、ほかに症状が見られない(気づかなかった)ため、風邪気味なのかな、保温をしっかりして安静にしよう、それでも改善しない場合は病院を受診しようと思っていました。
昨晩まで元気だったが、朝、重篤な状態に・・・
昨晩まで元気に遊んでいた文鳥でしたが、ある朝、急に以下のような状態になっていました。
- 食欲、元気がない
- 開口呼吸、チアノーゼ
- 口の中に粘膜質の液が溜まり苦しそう
その日のうちに動物病院の受診を検討しましたが、あいにく鳥を診れる獣医が不在。その日はうちで安静にすることやポカリを薄めたものをスポイトで飲ませるなどの応急処置をし、次の日に受診。トリコモナスと診断されましたが、症状はかなり重篤でした。
診察の際も、「触ったり動かしたりすると死んでしまうかもしれない。治療をするか飼い主の判断に委ねる」とのこと。この時すでにトリコモナス症を疑っていた私は、このまま連れ帰っても治らないなら「やれることはしてください」と治療をお願いしました。
結果、大量のトリコモナスがいました。相当ガリガリに痩せているとのことで、2週間でここまでなることはないと考えられる。ペットショップにいたころからトリコモナス症の症状が発症していたと考えられる。との見解でした。薬をもらって帰宅しましたが、翌朝亡くなりました。
文鳥のヒナにかかりやすいトリコモナス症
今回は、私の知識のなさから愛鳥をトリコモナスで亡くしてしまいました。ヒナだったこともあり、1週間は自宅で環境に慣れさせ、健康診断はそれからにしようと思っていたのですが、結果的にそれでは遅すぎました。
トリコモナスは早期発見で、駆除役を飲ませれば治ります。どうしてもブリーダーやペットショップでは感染率が高いため、お迎えした際は早めに動物病院への受診をおすすめします。
文鳥をはじめとする鳥のヒナのお迎え予定がある方は、予め動物病院の予約を取り、愛鳥の受け取りと同時に病院を受診して帰宅すると安心です。ヒナには少しストレスになってしまいますが、環境が変わることで免疫が下がり発症するケースも少なくありません。愛鳥の様子と動物病院への相談を行いながら判断するのも良いでしょう。
大切な命を早い段階で失わないためにも、飼い主さんはできることを精一杯行い、愛鳥が幸せに長生きできるよう努めましょう。